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遠藤麻衣子『自在』
© 3 EYES FILMS, JST ERATO 稲見自在化身体プロジェクト

ロボットと一体化した少年は、
能力の限界を広げるために新たな体の一部を作っている。

彼は三つ目のメガネやロボットを通じ、
同時に他のふたりの子供たちと

現実世界の時空を超えて交感を重ねる。

重奏的なその体験の先で…。


 

本作のきっかけとなった「稲見自在化身体プロジェクト」は、身体を変幻自在にする「自在化技術」の研究を行うプロジェクトであり、その目的のもと国内外6研究機関の研究者たちが分野を超えて結束し、2023年春までの5年間、集中的に研究を行なった。本作は、遠藤麻衣子監督がその研究現場に潜入し、そこで目の当たりにした身体の多様な未来のありようにヒントを得て、独自に想像し描き出した物語である。劇中には、当時ラボで使用された実験用実機が複数登場する。撮影では、各実機の設計者であり製作者でもある若い研究者たちが自ら操縦を行なった。​(▶︎ 稲見自在化身体プロジェクト )

〈出演〉

遠藤陽太郎Yotaro Endo
シュミット真綾Maya Schmidt
早川天麻Tenma Hayakawa       ほか


〈監督〉

遠藤麻衣子/Maiko Endo 
映画監督/アーティスト。ヘルシンキ生まれ。東京で育つ。ニューヨークで創作の後、帰国。 2011年日米合作長編映画『KUICHISAN』で監督デビュー。同作は 2012年イフラヴァ国際ドキュメンタリー映画祭にてグランプリを受賞。日仏合作で長編二作目となる『TECHNOLOGY』を完成させた。中編『TOKYO TELEPATH 2020』が、2020年ロッテルダム国際映画祭正式出品作となる。2021年に初の美術作品となる映像インスタレーション《Electric Shop No.1》を東京のTakuro Someya Contemporary Artで発表。2022年、第14回恵比寿映像祭でオンライン映画《空》を発表。翌年、東京都写真美術館の展覧会「風景論以後」に同作を展示。現在、東京を拠点に活動中。

 

〈監修〉

稲見昌彦/Masahiko Inami
東京大学 総長特任補佐・先端科学技術研究センター 副所長 / 教授。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了 博士(工学)。電気通信大学、慶應義塾大学等を経て2016年より現職。自在化技術、人間拡張工学、エンタテインメント工学に興味を持つ。米TIME誌Coolest Invention of the Year、文部科学大臣表彰若手科学者賞、文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)などを受賞。情報処理学会理事、日本バーチャルリアリティ学会理事、日本学術会議連携会員等を兼務。著書に『スーパーヒューマン誕生!人間はSFを超える』(NHK出版新書)、『自在化身体論』(NTS) ほか。

 

遠藤麻衣子『自在』スチール写真
© 3 EYES FILMS, JST ERATO 稲見自在化身体プロジェクト
© 3 EYES FILMS, JST ERATO 稲見自在化身体プロジェクト



制作・監督・脚本・編集:遠藤麻衣子|エグゼクティブ・プロデューサー:鈴木朋幸|サイエンスアウトリーチ企画・共同制作:楠見春美、中川純希|共同制作・撮影監督:野田直樹|セットデザイン:三ツ泉貴幸|照明:前島祐樹|録音:島津未来介|サウンドデザイナー:ニコラス・ベッカー|リレコーディング・ミキサー:浅梨なおこ|音楽、音響効果:服部峻|特別協力: 山中俊治|撮影協力・実機操縦:堀江新、村田凌、前川和純、山村菜穂子、村松充、神山友輔、阪本真、大伏仙泰、矢崎武瑠、井上康之、アモウリ・デュショウ、上田大智、高原唯、安田玲、赤松和昌、ユン・ソクジュン|取材協力:岩田浩康、北崎充晃、ゴウリシャンカー・ガネッシュ、宮脇陽一、杉本麻樹、石黒周、瓜生大輔、中川純希、東京大学、早稲田大学、豊橋技術科学大学、フランス国立科学研究センター(CNRS)、電気通信大学、慶應義塾大学 ほか|製作:JST ERATO 稲見自在化身体プロジェクト、トモ・スズキ・ジャパン|制作:3 EYES FILMS、A FOOL|協力:JIZAIE、Art&Science Communication Lab

映画に登場する実機たち

Actual Machines in the Film

この映画に登場する多くの実機は、研究室で若手研究者たちが研究用に設計・制作し、使われていたものです。
遠藤麻衣子監督が様々な実機を見て装着した後に、この作品において使用するもののセレクトを行いました。

FUSIONFACE_1.11.1.tif

research & design:
Yasuyuki Inoue, Department of Information Systems Engineering, Faculty of Information Engineering, Toyama Prefectural University
Michiteru Kitazaki, Toyohashi University of Technology


©︎JST ERATO INAMI JIZAI BODY PROJECT

三つ目のロボットヘッド

3 Eyes Robot Head

このロボットヘッドには、画角約180度の超広角カメラ(中央)と、2台の広角カメラ(左右)が搭載されています。[中央+左]と[中央+右]の組み合わせでそれぞれ別の二人が装着するHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の視点に紐にづけられ、二人は互いの見る視点と視野の融合と拡張を体験できます。この実機は映画に強いインスピレーションを与えました。

​➡︎ 参考情報: Telepresence Robot with Novel Stereoscopic Camera Configuration


スクリーンショット 2024-08-11 9.08.01.png

research & design:
MHD Yamen Saraiji and Kota Minamizawa, The Keio University Graduate School of Media Design 
Tomoya Sasaki, Reo Matsumura, Kouta and Masahiko Inami, The Research Center for Advanced Science and Technology, The University of Tokyo


©︎JST ERATO INAMI JIZAI BODY PROJECT

Fusion

Fusion

遠隔地にいる人とのコミュニケーションの多くは、現在でも視覚情報や聴覚情報によるものに制限されています。Fusionは、ウェアラブルロボットを用いて、離れた人同士の身体の動きを伝え合い、新たなコミュニケーションをもたらす遠隔共同作業システムです。二人羽織のように装着し、他者の身体を操作することもできます。身体性を伴うコラボレーションや学び、技能習得支援など、社会での今後の応用が期待されます。


​➡︎ 参考映像: Fusion

スクリーンショット 2024-08-11 9.58.53.png

research & design:
Minori Manabe, Daisuke Uriu, Takeshi Funatsu, Atsushi Izumihara, Takeru Yazaki, I-Hsin Chen, Yi-Ya Liao, Kang-Yi Liu, Ju-Chun Ko, Zendai Kashino, Atsushi Hiyama, Masahiko Inami, Research Center for Advanced Science and Technology, The University of Tokyo

©︎JST ERATO INAMI JIZAI BODY PROJECT



➡︎ 参考映像: T-Leap

T-Leap

T-Leap

「T-Leap」は、360度カメラとマイク・スピーカーモジュールを備えた、遠隔地での体験を可能にするデバイスです。映画の中では固定されて使われていますが、身体に装着することもできます。その場合、例えば、T-Leapを装着したAさんが旅行・散歩・買物をすると、離れた室内にいるBさんが、まるでAさんの隣を歩いているような感覚で、遠隔地の体験を実感できます。Bさんは、遠く離れたその環境を自分の視線で見ることができ、自分の耳で周囲の音を聞きながら、Aさんと会話することもできるのです。また、1人対1人のみならず複数人対1人、すなわち多地点での行動を同時に体験するマルチプレゼンスのコミュニケーションも可能です。


スクリーンショット 2024-08-11 9.29.54.png

research & design:
Yoichi Miyawaki, Graduate School of Informatics and Engineering, The University of Electro-Communications
Gowrishankar Ganesh, Centre national de la recherche scientifique, CNRS


©︎JST ERATO INAMI JIZAI BODY PROJECT



➡︎ 参考映像: 6th Finger Project

第6の指

sixth finger

「第6の指」は、腕の筋肉の電気信号によってコントロールできる⼈⼯指デバイスで、他の体の部位の動きから独立して操作できます。自在化身体研究では、この指の使用者の感覚や行動にどのような変化がもたらされるかを検証しました。その結果、装着した人がこの指をまるで⾃分の⾝体の⼀部のように感じることが明らかになりました。研究者たちは、このように身体に装着したデバイスが自らの身体の一部に取り込まれる(身体化される)とき、装着者の脳に変化が生じるかどうかに注目し、実験を続けています。

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research & design:
Arata Horie, 
Graduate School of Media Design, Keio University / commissure, inc.

Masahiko Inami, Research Center for Advanced Science and Technology, The University of Tokyo



©︎JST ERATO INAMI JIZAI BODY PROJECT,  JST ACT-X Hardware in Future for Resilience of Real Space

Seeing is Feeling

Seeing is Feeling

「触感の共感」は、人工的なデバイスにとって未知の研究領域です。このウェアラブルなハプティックディスプレイ(触覚提示デバイス)は、提示される触感の強度に応じて羽が立ち上がり、その角度によって装着者の触感を観察者に伝達します。また、テレイグジスタンス(遠隔での臨場感を伴う身体体験)においても、他者との触感の共有を可能にします。

​➡︎ 参考映像: Seeing is Feeling

スクリーンショット 2024-08-11 19.56.40.png

research & design:
Noriyasu Obushi, Sohei Wakisaka, Shunichi Kasahara, Atsushi Hiyama, Masahiko Inami, Research Center for Advanced Science and Technology, The University of Tokyo




©︎JST ERATO INAMI JIZAI BODY PROJECT



​➡︎ 参考映像: MagniFinger

MagniFinger

MagniFinger

「MagniFinger」は、ヒトの目では認識できない微細な環境を知覚することのできる指先搭載型顕微鏡デバイスです。顕微鏡の光学系と触覚フィードバックを指先に装着することで、微細な対象を直接触りながら観察できます。光学顕微鏡が対物レンズと接眼レンズからできているのに対して、MagniFingerは、約1ミリメートルの球レンズを用いることで、指先の僅かな移動によって対象をなぞるように観察することができます。顕微鏡は目で観察するものという常識を覆して、触覚や聴覚など他の五感と合わせて観察できる、新たなウェアラブル観察装置として期待されます。

JIZAISHI_1.21.1.tif

research & design:
Nahoko Yamamura, Daisuke Uriu, Masahiko Inami, Research Center for Advanced Science and Technology, The University of Tokyo

Mitsuru Muramatsu, Yusuke Kamiyama, Shin Sakamoto, Shunji Yamanaka, Institute of Industrial Science (IIS), the University of Tokyo


©︎JST ERATO INAMI JIZAI BODY PROJECT

​自在肢

Jizai Arms

自在化身体は、ウェアラブル技術やロボット工学・制御技術を駆使して実現されます。「自在肢」は、そんな自在化身体同士のインタラクション(相互のやり取り)を探究するためにデザインされました。6つのターミナルを持つベースユニットと、着脱式ロボットアームからなるウェアラブル(身につけられる)システムで、装着した人たちの間で、腕の「交換」などの社会的インタラクションを可能にします。

​➡︎ 参考情報: 自在肢

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